訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2009-07-19

翼よ、あれがタイの灯か?

人工衛星が撮影した地上の写真がある。
昼間の部分をつなぎ合わせたものはグーグルアースなどでおなじみだが、夜間に撮影したものばかりをつないだものも「夜の地球」として、特殊な目的で利用されている。
その「夜の地球」マップを見ると、日本などは夜間照明によって、昼間と同じ列島の形が浮かび上がってくるわけだが、逆に北朝鮮などは地上からすっぽり抜け落ちたみたいに真っ黒である。
都市の灯り以外で目立つのは、日本海の漁火、油田や石油コンビナート、焼き畑、そしてオーロラの光。

さて、タイはというと、東南アジアではダントツに明るいのである。
カンボジア、ラオス、ミャンマーなどが暗いため、国の輪郭が浮かび上がるくらいだ。
タイは平地が多いため、都市は全国にまんべんなく散らばっているといってもよい。
そして、その都市と都市は、整備された国道によってつながっている。
タイの典型的な都市は、市街地から放射状に4,5本の幹線道路が、それぞれ隣の都市へ向かって出ていくという構造をしている。
それがハニカム構造のように全土を覆っているのだ。
ただ、日本と違うのは、都市と都市の間は一気に人口密度が下がるということ。
これは国土が1.5倍もありながら、山岳地帯が少なく、かつ人口が日本の半分しかいない、ということろからきているのだと思う。
市街地が急速に膨らんでいき、隣の都市とつながってしまうということは、タイではあまりないらしい。
こういったことから、地方へ行くと、主要国道なのに街灯が無い、という区間がしばらく続いたりもする。
つまり、日本は人口密集地が面で存在するのに対して、タイではいくつもの点で存在するというイメージになる。

一方、首都の明るさは東京にも負けないものであるから、タイへ向かう飛行機から見下ろす夜景も変化に富んでいる。
まず、真っ暗な陸地から、点在する地方都市の灯りを散見するようになって、国境を越えタイに入ったことがわかる。
やがて、ひときわ広範囲な灯りが見えるころには、飛行機も高度をしだいに下げ、そこが首都バンコクであることを知る。

北部・東北部ののんびりした雰囲気に比べ、首都の慌しさは好きになれず、バンコクはタイで唯一嫌いな町だと公言している。
が、それでもこここそがタイの玄関口。
到着のときの興奮や、最終日の寂寥感は、ともにバンコクの夜景が演出する。
旋回する飛行機から見下ろす街灯りに、毎度、涙が出そうになるのである。
チェックインのときに決まって窓側の席を選ぶのは、この景色を眺める短い時間のためである。