カラシン先生のこと(3)
バイクタクシーで先生の自宅へ訪ねていくと、ちょうど、ご主人が娘のジューンを塾へ連れて行こうとしていたところだった。
一緒に車に乗せてもらい、車中で持参した大伸ばしの写真をジューンに渡す。
一昨年撮影した、先生とジューンの写真である。
ジューンを降ろしてから、再び家に戻ったら、ご主人が何冊ものポケットアルバムを見せてくれる。
写真はカラシン先生の葬儀の様子を記録したものだった。
多くの人が先生の死を惜しむ様子が見てとれる。
この後、ご主人は、僕が子供たちを訪ねて回るのに車を出してくれると言う。
しかも、いつもカラシン先生とペアを組んでいたウィナ先生にも連絡して、同行するよう頼んでくれた。
来年、長男の高校卒業で、6年通ったカラシン先生の学校とも縁が切れてしまう。
おそらく、これからもこの町にはやってくるだろうし、その時にはウィナ先生にも会いたい。
そこで、子供たちの家を巡る間、ずっと考えていたこと、「カラシン先生記念奨学金」の構想を、ホテルまで送ってくれた二人に打ち明けてみた。
ウィナ先生も乗り気だったので、一気に段取りを決めてしまう。
通帳の管理などはウィナ先生にお願いし、僕が訪タイするたびに1年分を通帳に継ぎ足していく。
今年は3年分を入金し、万一に備えてプールしておく。
対象生徒の選定はウィナ先生他、学校で決めてもらい、その子が卒業したら、入れ替わりに次の生徒を選ぶことにする。
スポンサーひとり、対象学生ひとりという、世界最小規模の奨学金制度ではあるけれども、先生の勤めた学校で、先生の教え子になるはずだった子供たちに、先生の情熱を少しでも伝えていけたらと思っている。
なお、第1号奨学生のダルニーは、この春大学に進学する予定である。
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