訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2009-08-04

男はくらいよ

プランの子供たちとは、スタッフや親の監視のもとで面会することになる。
生まれて初めて外国人と話をするのだろうし、おそらく、礼儀正しくしなさいとしつこく念を押されているに違いない。
きちんと座って、ニコリともせず、なにか尋ねられても小さくうなずくか首を振るだけ。
まるで、職員室で叱られてでもいるかのようだ。
これが訪問を繰り返すうち、だんだん打ち解けてくるわけであるが、女の子は高校卒業あたりを機に大変身することになる。

社会に出たことで自信も持つのだろうし、その瞬間から大人とも対等に張り合っていかなければ、そもそも生きていけない。
で、僕に対する態度が一変するのである。
まあ、年長者に対する敬意が皆無になることはないのだが、冗談を言ってくるくらいなら可愛いもので、あれこれ指図すらしてくるようになる。
「とうさん、ほら、ちゃんと挨拶して」なんてことを言われた日には、どちらが親やら娘やら。
もともと明るく社交的なタイ人であるから、それで大丈夫とわかれば、遠慮なんて絶対しないのだ。
外見も変わるから、一年ぶりに会うと、もう全くの別人である。
「あなた、本当にXXXだよね?」
何度、そう尋ねたくなったことか。

ところが、これが男の子になると、まったく違うのである。
20歳を過ぎても、やはりうなずくか、首を振るか、せいぜい下を向いて小さな声でボソボソ答えるだけ。
彼らも陽気なタイ人に違いないのであるが、どうも、子供のときの刷り込みで、条件反射的にそうなるらしい。
普段はきっと、友達なんかと大騒ぎしているはずなのだが、僕が現れると、借りてきた猫になってしまう。
もちろん、僕のことが苦手だとかっていうわけではない。

ようするに、女の子は年とともに成長・変化するが、男子はいくつになっても子供のまま、ってことらしい。
どこの国でも同じような傾向はあるかもしれないが、おそらくタイはこの性差がどこより大きいのだろう。
タイの男子は、誰でも一生に一度は出家しなければならない、、、というのは、ダメダメ男子を少しでも社会で通用するように鍛え上げる、という智恵なのではなかろうか。