訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2009-10-07

ホテルの鍵貸します(2)

コンケーンのホテルでひどい目にあった翌年、今度はエリーとルーイ県まで行くことになった。
彼女は友達の家に泊まる予定で、僕も一緒にと誘ってはくれたのだが、宿泊費を少しばかり節約することと旅先での自由を引き換えにする気は毛頭無い。
近くのホテルに泊まって翌朝迎えに行くからということで納得してもらい、彼女の友達、ニットの案内でホテルへ向かった。
まだ出来たばかりの小さなホテルで、内装もきれいだし、従業員も感じがいい。
オーナーと思しき人物が自ら部屋まで案内してくれた。
泊まるのは僕一人であるが、エリー、ニットを引き連れて、総勢4名が狭い部屋に入り、さあ荷物を置こう、としたときである。
全員の目がテーブルの上に集中し、一斉に黙り込んでしまった。
そこには大きなリュックサックが置かれていたのである。
もちろん、僕はこの状況を一瞬で理解した。
去年と同じことが起きたのである。
幸いにして、この部屋の宿泊客は、どこかへ外出中だったらしい。
タイ人3人が手短に言葉をかわしたあと、何にも触れないようにして全員でそっと廊下に出る。
一人笑っているのはエリーである。
「あなた、去年もこんなことがあったんだよね?」
まるで僕のミスであるかのようにおもしろがっているが、こちらとしては、エリーがホテルについてくると、決まってこんなことになるわけで、彼女のほうこそが疫病神に思えてしまうのである。

悪意の有る無しにかかわらず、タイのホテルは油断しちゃいけないということに気づかされたわけで、それからというもの、一人で部屋にいるときはドアチェーンも掛ける、外出するときは貴重品を残していかない、といったふうに、旅の心得の基本を忠実に実行するようになったのである。