訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2009-12-06

二十二歳の別れ

コンケーンのホテルに泊まっていたとき、知り合いの女の子が訪ねてきた。
移動手段を持たない彼女をバイクに乗せてきたのは、コンケーン大学に通う男友達で、これがなかなかの好青年である。
明るく爽やかで体格もよく、物怖じしないが図々しくもなく、年長者への敬意も払いながら、楽しい会話ができるときた。
僕がタイの男子に好感を持つなんて、極めて珍しいことである。

それから1年半が過ぎた頃、メッセンジャーでチャットを呼びかけてきたタイ人がいて、誰かと思ったら、これがあの男友達である。
自分のことを憶えているかと訊いてきたので、「もちろん」と応えたものの、そもそも彼は僕にとって、一度会ったことがあるだけの「友達の友達」である。
いったい何事かと思ったら、「彼女が結婚するんです」という。
そのことなら暫く前、本人から、知らせたいことがあるといって直接聞かされていた。

「相手はノルウェー人なんだってね」
「そうです。それで僕は今、とても寂しいんです」
どうやら彼は本気で彼女を好きだったらしいのだが、友達以上になれないうちに、彼女のほうに外国人との縁談が持ち上がったようなのである。
こんなときに、どう慰めればよいかわからず、キーボードを打つ手も途切れ途切れになってしまう。
「でも、彼女が望んだのなら仕方ないよね。彼女の幸せを願ってあげようよ。僕らにはそれしかできないでしょ?」
「はい。だけど、僕は今でも彼女が恋しいんです」
「・・・・」
何を言っても堂々巡りで、これはかなりの重症である。
まさか結婚式場でダスティン・ホフマンやったりしないだろうね?
「で、彼女はいつ結婚することになってるの?」
「もう結婚式から2週間ほど経ちました」
「なんだ。それじゃあ、もうどうしようもないでしょ。諦めなきゃね」
「でも、どうしても忘れられないんです!」

やはり女々しいぞ、タイ・ボーイ。
結局、こいつも例外ではなかったのか?
一方、タイの女の子にとって、自分に求婚する男がそこそこ金持ちで白人なら、これはもう王子様である。
あとは、北欧のライフスタイルと気候に馴染めずに、離婚して帰国するのを待つしかないか。
そのとき傷心の彼女を彼が受け止めてやれるのならめでたしなのであるが、それまで彼の思いが変わらないかっていうと、それはそれで、やっぱり難しいのだろうなと思ってしまう。