訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2010-08-27

激痛

長男の家から5キロ弱のところに三女の実家がある。
三女は3歳の息子を祖母に預けてチョンブリ県に出稼ぎ中である。
曾祖母に育てられた息子はすっかり内気な甘えん坊になってしまっていて、僕が訪ねて行くとひいばあちゃんの後ろにしがみついて上目遣いにこっちを見ているだけ。
昨年も同様だったので、今年はここでの滞在時間を多めに配分してある。
なんとしてもこの孫息子と仲良くなるつもりだったから。
武器はいつもの「テレビマガジン」。
さっそく家の中に上がり込んで、付録の「仮面ライダーなりきりセット」を作り始める。
最初は知らん顔で、作業に没頭しているように見せることが重要である。
案の定、部屋の隅っこに引っ込んだままだったが、こちらの様子は気になっているようで、ずっとこちらを見つめている。
こちらはじっと我慢して、向こうを見ないよう、ただただ作る。
とりあえずマスクが一個できあがったところで差し出してみるが、やはり受け取ろうとはしないので、目の前に放り投げてやる。
さらに小物を作っては、また目の前に放り投げる。
やがて、おそるおそる手にしてはまたすぐ床に戻すという動作を何度か繰り返していたが、だんだん距離が近づいてきたので、マスクを拾って頭にかぶせてやった。
ライダーになったのがよほど嬉しかったのか、そこでようやく警戒心が無くなったようで、初めてこの子の笑った顔を見ることができた。
野生動物の餌付けに成功した瞬間である。

その後は隣に座って一緒に作業することができた。
簡単な型抜きなどを手伝わせながら、まだまだ多く残っている付録の組み立てにピッチを上げる。
できれば全部作ってやってからここを出たかったのである。
しばらく一心不乱に組み立てをやったあと、残り時間も気になって、ちょっと背筋を伸ばそうとしたときだった。
いきなり激しい痛みが腰に走り、思わず悲鳴を上げてひっくり返った。
日本を出る少し前にもやっていて、ずっと警戒はしていたのだが、いわゆる「ギックリ腰」である。