訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2009-12-15

海が見えたら

タイへはもう何度も行った。
狭い路地裏まで知り尽くした町もある。
人が住んでいることが信じられないような山奥にも行った。
しかし、いまだかつてタイの海というものを見たことが無い。

多くの日本人観光客にとって、タイはビーチの国である。
パタヤ、プーケット、サムイ島など、行ったことがない人でも知っているくらい。
ところがウチの子供たちは、そもそも北や東北部の内陸にしか住んでいない。
紹介してくれる組織の活動地域が、そういった貧しい農村に限られるのだから、これは仕方ない。

もっとも、海に近づく機会は何度かあった。
例えば、長女と次女が一時住んでいたサムサコンは海辺の県だ。
高速道路を降りて、ちょっと南へ向かえば海に出るはずなのだが、その反対側が彼女たちの住まいなのである。
三女が働くチョンブリもまた海に面している。
バスを降りて西へ少し歩けば海である。
有名なパタヤも遠くない。
ところが、ここでもバスステーションでタクシーを拾って、海とは反対の方向へ走ることになる。

そうしたわけで、ビーチとはずっと縁がなかったのであるが、実は、東北コンケーンにも知る人ぞ知るビーチリゾート(?)がある。
その名も「パタヤ2」。
五男の家があるここは、大きな湖のほとりなのである。
貝殻の多い砂浜には小さな波が打ち寄せ、岸から張り出した高床の東屋ではグループで遊びに来たと思われる人々が湖上を渡る風に吹かれながら食事をしている。
浜には貸しボートや食べ物の店もあり、地元の老若男女がそれぞれに楽しんでいる。
ただ、全体の雰囲気が、なぜかもう一つパッとしない。
いろいろ考えてみた結果、近くにホテルやレストランが無いことが原因ではないかと思った。
遠方から金と時間を持ってくるような客がいないため、日本にもよくある、名も無き田舎の海水浴場といった感じなのだ。
これでパタヤとは片腹痛い。
というわけで、本家パタヤのビーチにパラソルを広げ、フレッシュジュースと文庫本で時間を潰すというささやかな贅沢は、未だに遠い憧れのままなのである。