訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2010-11-01

忘物

五女とその友達を大学の寮まで送り届け、来年の再開を約束して別れた。
歩いていく二人が見えなくなってから、ジュースを買うために近くのコンビニに入る。
ペットボトルをあらかじめホテルの冷蔵庫で凍らせておくのである。
移動の車内で、凍ったオレンジジュースを融けただけずつ飲んでいくと、ちょうど半日もつというわけ。
夜食用のスナック菓子なども買い込んで車に戻り、長い一日もあとはホテルで眠るだけ、と思った瞬間である。
助手席のシートに挟まるようにして半分だけのぞいている五女の携帯電話が目についた。
あのバカは命より大事なケータイを忘れてっちゃったのか!

さっそく五女に連絡して、、、、と思ったところで気がついた。
電話がここにあるって事は連絡のつけようがないじゃないか。
しかたなく携帯電話を持って、車を降り、近くの建物に向かう。
といっても、大きな建物がいくつもあり、そのうちのどれが寮なのかすらわからない。
行ったり来たりを繰り返したあげく、足で見つけ出すことは不可能と判断。
あとはこの電話で適当な履歴なりにかけ、でてくれた相手に事情を説明するしかない。
たぶん、ほとんどが大学の友人だと思うので、何とかしてくれるであろう。
問題は、電話の相手が不審がって切ってしまう前に、事情を手際よく説明できるかどうかである。
ドキドキしながら、電話を手にとって、電話帳の表示のしかたを調べようとしたときだった。
前方からやってくる二人乗りのスクーターを見ると、運転しているのは五女ではないか。
さっきの友人を送って行くところらしい。
急いで呼び止めると、きょとんとしている。
電話が無いことに、まだ気がついていないようだ。
黙って差し出すと、すごく驚いていた。
「ばかやろー、×○※△☆、、、、」
どうしたらいいかと、さんざん悩まされていたので、思いつく限りの悪態をついてやった、もちろん日本語で。
意味不明なことを叫びながら、叩いたり、首を絞めたりする僕に、どれだけ困らせたかを少しは理解したらしい。
100メートルほど先の車まで、バイクの後ろに乗せていってくれるという。
近いからいいよと言っても強引に誘うのは、彼女なりに悪かったと思っているのだろう。
二つ返事で後部シートの友人と交代し、ちょっとだけタンデム。

子供たちとは、「さよなら」が即ち一年間のお別れなわけで、毎度とてつもなく寂しいのである。
だから、直後にもう一度会えたことが、本当は嬉しくて興奮しちゃったわけ。
「バイクに乗せてもらっちゃった」
それだけで、ホテルまでの道中、ずっとニヤニヤしながら車を走らせたのである。