訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2012-01-06

次男

次男から電話がかかってきたのは、空港からホテルへ向かうバスの中にいるときだった。
友達の携帯電話を借りているとのこと。
彼はマハサラカムから就職でバンコクに出てきていて、事前に実家近くに住む従姉妹から連絡をつけてもらっていたのである。
いつホテルに着くかと言うので、間もなくだからホテルのロビーで会おうということにした。
ホテルにはすぐに着いたが、腰が痛いためすぐに部屋へは行かず、チェックインを済ませてそのままロビーで待つことにした。
次男の勤め先はチャオプラヤー川の反対側なので、先方のほうがかなり時間がかかるようである。
しばらくして待ちかねた次男がホテルに入ってきたが、これが何とも場違いなのだった。

実はこのしばらく前、このホテルの周辺で暴動があって、まだ周辺にはあちこちに焼け跡がある状態。
ホテルの中でも爆発があり、ようやく営業を再開して間もないときだった。
当然、海外からのセレブも多く宿泊するホテルのセキュリティは厳しく、入ってくる車も、歩いてくる人も、金属探知機でのチェックはもちろん、手荷物も全部開けて見せてからでないと通してもらえない。
いたる所に立っている警備員はもちろん、従業員が常に歩き回って周囲に気を配っている。
こちらはやましいところが無いはずなのに、変に疑われないよう、キョロキョロすることすら控えるようになっていた。
そこに現れた次男は、中学時代から100キロを越していたくらいで、日本にいたら相撲部屋以外就職口は無いだろうという巨漢である。
これが左右に友人とおぼしき同年代の少年を二人引き連れていて、三人が三人とも高級ホテルに不似合いなTシャツ・半ズボンにサンダル履きである。
街中で見かけても、腕に覚えの不良少年グループにしか見えないだろう。
手ぶらの上に宿泊客との待ち合わせだから通してくれたものの、もし紙袋でも提げていようものならどう扱われたことやら。
僕は彼が気の優しい子だとよく知っているし、その友達もおとなしいいい子達であることはすぐに分かった。
ただ、この三人を引き連れてホテル内を歩くのだけは少々キツかったものである。