訪チャイ雑記

プラン・インターナショナルなどの援助事業を通じて知り合ったタイの子供たちを訪ね歩くチャイルド訪問旅行。その際の出来事などを書きなぐった、あくまで個人的な覚え書きです。万一、同志の参考にでもなれば嬉しいですが、責任はとれません。 質問等もコメントでご遠慮なくどうぞ。

2008-12-24

花婿募集中(6日目)

チャーイの家を出て、市街の反対側にあるホテルに入る。
少し落ち着いたところで、ウドンに住む知り合いに電話をかけた。
すぐにホテルまで行くと言うので、ロビーで本を読みながら待つことにした。
間もなくやってきた彼女に、約束していた日本のファッション雑誌を渡す。
彼女は現在結婚相手を探しているところで、インターネットの国際結婚サイトにも登録している。
「その後、いい男は見つかった?」
「まだ」
「そう。ま、がんばってね。念のために聞いておくけど、僕は候補じゃないんだよね?」
「あはははは」

23歳の彼女が結婚を焦っているのにはわけがある。
浮気して出て行った前夫との間に、生まれたばかりの赤ん坊がいるのだ。
赤ん坊の父親になるなら、少しでも早いほうがいい。
ちゃんと面倒を見てくれるなら、年齢・国籍は問わないとのこと。
「どうして外国人と結婚したいの? タイ人じゃだめ?」
「ぜーったい、ダメ! タイの男はもうこりごり。前の夫は私が妊娠中に浮気相手といなくなったんだから。そういったことがタイの男にはよくあるの」
確かにタイ男のだめだめぶりはよくわかる。
が、しかし、結婚前にそのだめっぷりがなんで分からないんだろうと、タイ女性の軽率さもまた、僕には理解できないところなのである。
当然、しっかりしたタイ男もいるはずなので、ゆっくり見極めてから結婚すればいいだけなのに、と思うわけである。

ホテルの近くの喫茶店でしばらく愚痴を聞いた後、息子を見に彼女の家まで行くことになった。
母親と妹が面倒を見てくれていた赤ん坊は、目の大きなかわいい子だった。

うっかりしたことに、子供向けのおもちゃとかを用意し忘れていたため、取り入るきっかけが無い。
見知らぬ男には警戒するばかりで、とうとう抱かせてはもらえなかった。
来年は何か買って行こうと思っているのだが、場合によっては、母親と一緒に、どこか外国に行ってしまっているという可能性無きにしも非ず。
ひょっとすると日本人の子供になって、日本で暮らしているかもしれない。

2008-12-13

買い物(6日目)

食事の後、BigCのCD売り場へ行く。
毎年、タイのCD・DVDを買いだめするのが最大の楽しみなのである。
1年ぶりになるので、贔屓の歌手の新作などを探すのであるが、一般的にアルバム発売の頻度は日本よりも低い。
今年は全売り場を見てまわっても、これは、というものが無い。
日本で過ごす1年間の必需品であるから、探すのも必死である。
何かお勧めがあるかとチャエーに尋ねたのが失敗だった。

「カラバオはどう?」
長髪ヒゲオヤジがアップで写っているCDをチャエーが見せる。
「いらない」
「どうして?」
「ジャケットがむさ苦しいから」
「じゃ、こっちのは? スローな曲が多いから、タイ語の勉強にもなるよ」
今度は50代半ばのベテラン女性演歌歌手、ダオチャイである。
「ママがすごく好きなのよ」
悪いが、彼女のママと趣味が合うとも思えない、っていうか、なんで最新のタイ・ポップスを勧めない?
ポップス系は歌詞がネット上に公開されていたり、英訳・和訳もあったりするので、実はタイ語学習にもこちらのほうが適しているのである。
いつまでも断り続けるわけにもいかず、結局、あまり気の進まないまま、チャエーが集めてくるものを何点か買わされてしまった。
もっとも、帰国してから聞いてみると、そのなかに日本の曲のカバーが何曲かあったりして、それはそれで、その思わぬ小さな発見が嬉しかったりもするのであるが。

店を出かかったときに、チャエーにいつ帰国するかと聞かれて思い出した。
帰国は3日後だが、バンコクまでの国内線をまだ予約していなかったのである。
このあと、コンケーンとバンコクで1泊ずつするか、コンケーンで2泊してバンコクは通過するだけにするかを決めかねていたのだ。
すでに疲れもピークに達していて、バンコクで泊まることを想像するとうんざりである。
で、結局最後はコンケーンでゆっくりすることにして、最終日のコンケーン-バンコク便を押さえることにした。
さっそくチケットの予約をBigC内の代理店で済ませ、チャエーの家に戻った。

2008-12-03

ギャグ、不発(6日目)

昼もだいぶまわっていたので、食事のためにチャエーとBigCへ行く。
こちらが客なので当然のように彼女が払ってくれようとしたのだが、このような場面で使おうとしっかり暗記してきたセリフを言ってみることにした。
本当はもっとリッチなディナーで使いたかったのであるが。

「ここは僕が支払いますよ」
「あなたはゲストだから、私にまかせて」
「いや、僕が払わなければいけない理由が4つあるんです」
「?」
「第一の理由は、僕が日本人だからです。ここは日本よりずっと物価が安いから、ぜんぜん負担になりません。第二に、僕は男ですから、女性から奢られるわけにはいきません」
「じゃあ、次の機会にはそうしてもらうから、今日は私に払わせて」
彼女がこの程度で引くことはないというのも計算の上である。
「それだけではありません。三つ目の理由は、僕のほうがあなたより年上だからです。それともあなたのほうが僕よりも年長でしたか?」
この余計な問い掛けは予想以上にインパクトがあったらしく、チャエーはしばらく黙り込んだあと、降参して言った。
「わかりました。じゃあ、今日は私が奢ってもらいます」

(あららら~!、三つ目の理由で納得されちゃうと困るんですけど...。4つ目に小粋なジョークをかまして、笑いの中でスマートに説得するというシナリオが狂っちゃうじゃないですか)
結局、練りに練ったオチを口にすることすらできず、消化不良のランチとなってしまったのである。