先生たちを待たせていたので、次男とはあまり長く話せなかったが、GPSに記録したので、来年は自力でここまで来られるだろう。
再び学校まで先生たちを送って、これで本日の訪問は全て完了である。
問題は今夜のホテルがここから200キロ以上先にあるということだが、走行予定の道路地図を電子マップから何枚にも分けて印刷してきているので大丈夫のはずだ。
ボラブーを午後7時に出発するというのも、当初からの予定とピッタリであるし、何よりこの日の訪問予定が全てクリアできたことで、ひょっとすると少し油断していたかもしれない。
最初の試練は学校を出てすぐにやってきた。
日が暮れて真っ暗になったところで、突然雨が降り出したのである。
しかも大きな雷鳴がひっきりなしに鳴っていて、非常に鬱陶しい。
ライトで見えるのは目の前の道路だけで、標識も何も全然見えない。
たちまち、走行中の道路が地図どおりであるかどうかに自信が持てなくなってしまったのだが、とにかく引き返すわけには行かないので、正しいと信じて走るしかないのである。
雷雨の中をなんとも心細い思いで走りぬけ、どうやら正しい幹線道路に出たらしいと思えた頃には雨も小降りになっていた。
次にやってきた問題はもっと重大である。
燃料が底をついてきたのだが、一向にガソリンスタンドが見つからないのである。
この車はデジタルの燃料計が壊れたらしく、外付けのアナログメーターがダッシュボードの上に貼り付けてある。
したがって、メーターの精度もわかったものではないのだ。
そのメーターでもしばらく前から針は「E」よりずっと下を指して止まっている。
つまり、今すぐ止まってしまってもおかしくない状態なのである。
幹線道路とはいっても街と街を結ぶ中間部はほとんど家も無い。
それでもガソリンスタンドが全然無いわけではないのだろうが、ここに至って大変なことに気がついてしまった。
つまり、午後9時にもなってしまっては、大抵のスタンドがすでに閉まっているのだということ。
ここは日本と違って、タイの田舎なのである。
大雨の中でも早めに給油しておくべきであった、と悔やんでも遅い。
エアコンも止め、アクセルも極力一定にして、ピリピリしながら何もない道を走り続ける。
おかげで、朝起きてから20時間が過ぎたが、眠気も吹っ飛んで居眠り運転の心配だけはしなくてすんだ。
そして、ようやく深夜営業の大きなスタンドを見つけることができたのである。